若草会職員は、すべての人が人間としての尊厳を有し、価値ある存在であり、平等であることを深く認識する。私たちは平和を擁護し、人権と社会正義の原理に則り、利用者本位の質の高い福祉サービスの開発と提供に努めることによって、社会福祉の推進と
利用者の自己実現を目指すことを言明する。私たちは、社会の進展に伴う社会変動が、ともすれば環境破壊及び人間疎外をもたらすことに着目する時、私たちがこれからの福祉社会にとって不可欠であることを自覚するとともに、支援専門職の職責についての一般社会及び市民の理解を深め、その啓発に努める。私たちは、支援の知識、技術の専門性と倫理性の維持・向上が支援専門職の職責であるだけでなく、利用者は勿論、社会全体の利益に密接に関連していることを認識し、本綱領を制定してこれを遵守する。
価値と原則
- 人間の尊厳
- 私たちは、すべての人間を、出自、人種、性別、年齢、身体的精神的状況、宗教的文 化的背景、社会的地位、経済状況等の違いにかかわらず、かけがえのない存在として尊 重する。
- 社会正義
- 差別、貧困、抑圧、排除、暴力、環境破壊などの無い、自由、平等、共生に基づく社 会正義の実現を目指す。
- 貢献
- 私たちは、人間の尊厳の尊重と社会正義の実現に貢献する。
- 誠実
- 私たちは、本倫理綱領に対して常に誠実である。
- 専門的力量
- 私たちは、専門的力量を発揮し、その専門性を高める。
倫理基準(利用者に対する倫理責任)
- 利用者との関係
- 私たちは、利用者との専門的援助関係を最も大切にし、それを自己の利益のために利 用しない。
- 利用者利益の最優先
- 私たちは、業務の遂行に際して、利用者の利益を最優先に考える。
- 受容
- 私たちは自らの先入観や偏見を排し、利用者をあるがままに受容する。
- 説明責任
- 私たちは、利用者に必要な情報を適切な方法・わかりやすい表現を用いて提供し、利 用者の意思を確認する。
- 利用者の自己決定の尊重
- 私たちは、利用者の自己決定を尊重し、利用者がその権利を十分に理解し、活用して いけるように支援する。
- 利用者の意思決定能力への対応
- 私たちは、意思決定能力の不十分な利用者に対し、常に最善の方法を用いて利益と権 利を擁護する。
- プライバシーの尊重
- 私たちは、利用者のプライバシーを最大限に尊重し、関係者から情報を得る場合、そ の利用者から同意を得る。
- 秘密の保持
- 私たちは、利用者や関係者から情報を得る場合、業務上必要な範囲にとどめ、その秘 密を保持する。秘密の保持は、業務を退いた後も同様とする。
- 記録の開示
- 私たちは、利用者から記録の開示の要求があった場合、本人に記録を開示する。
- 情報の共有
- 私たちは、利用者支援のために利用者に関する情報を関係機関・関係職員と共有する 場合、その秘密を保持するよう最善の方策を用いる。
- 性的差別、虐待防止
- 私たちは、利用者に対して、性別、性的指向等の違いから派生する差別やセクシュア ル・ハラスメント、虐待をしない。
- 権利侵害の防止
- 私たちは、利用者を擁護し、あらゆる権利侵害の発生を防止する。
倫理基準(実践現場における倫理責任)
- 最良の実践を行う責務
- 私たちは、実践現場において、最良の業務を遂行するために、自らの専門的知識、技術を惜しみなく発揮する。
- 他の専門職等との連携・協働
- 私たちは、相互の専門性を尊重し、他の専門職等と連携・協働する。
- 実践現場と綱領の遵守
- 私たちは、実践現場との間で倫理上のジレンマが生じるような場合、実践現場が本綱 領の原則を尊重し、その基本精神を遵守するよう最善を尽くす。
- 業務改善の推進
- 私たちは、常に業務を点検し評価を行い、業務改善を推進する。
倫理基準(社会に対する倫理責任)
- ソーシャルインクルージョン
- 私たちは、人々をあらゆる差別、貧困、抑圧、排除、暴力、環境破壊等から守り、包括 的な社会を目指すよう努める。
- 社会への働きかけ
- 私たちは、社会に見られる不正義の改善と利用者の問題解決のた め、利用者や他の専門職等と連携し、効果的な方法により社会に働きかける。
倫理基準(専門職としての倫理責任)
- 専門職の啓発
- 私たちは、利用者・他の専門職・市民に専門職としての実践を伝え社会的信用を高める。
- 信用失墜行為の禁止
- 私たちは、その立場を利用した信用失墜行為を行わない。
- 社会的信用の保持
- 私たちは、他の支援職員が専門職業の社会的信用を損なうような場合、本人にその事実 を知らせ、必要な対応を促す。
- 専門職の養護
- 私たちは不当な批判を受けることがあれば、専門職として連帯し、その立場を擁護する。
- 専門性の向上
- 私たちは、最良の実践を行うために、スーパービジョン、教育、研修に参加し、支援方 法の改善と専門性の向上を図る。
- 教育・訓練・管理における責務
- 私たちは、教育・訓練・管理に携わる場合、相手の人権を尊重し、専門職としてのより よい成長を促す。
- 調査・研究
- 私たちは、すべての調査・研究過程で利用者の人権を尊重し、倫理性を確保する。